院長の挨拶2021

皆さん、こんにちは。
昨年、そして本年は皆さんご存知の通り、大変な年となりました。
突如出現した新型コロナウイルスによって社会が根幹から変わる大転換が現在も進行中です。
皆さんもその中で大きな不安を抱えたり、対応に追われたりされていることと思います。

2011年の東日本大震災の時もそうでしたが、このような歴史に刻まれる大災害に見舞われると、このような時に音楽をしていて良いのかという問いが自身にも向けられ、悩んだ時期もありました。
しかし、いまは確信を持ってこのような時だからこそ、人間の生命力を肯定し、その生命を迸らせるために音楽は無くてはならないもの、ひいては人間と切っても切り離せないものなのだと断言できます。

いま私たちが手にしているあらゆる音楽は人類の誕生と一緒に生まれ、そして想像もつかないほど多くの人々に歌われ、奏でられ、気の遠くなる年月をかけて積み重ねられてきたものです。
皆さんは音楽の存在しない世界というものを想像できますか?
きっと想像出来ない筈です。想像出来たとしてもその世界に人間は存在しないでしょう。
だとすれば音楽の存在とは人間が人間である、そして私たちが生きている証なのです。
人間とは生命の維持だけを考えれば栄養さえ過不足なく摂取していれば良い筈ですが、私たちは限られた食材でもなるべく美味しく調理しようとします。
寒さを凌ぐだけなら布を纏えば良いだけですが、その布を少しでも美しく纏いたいという気持ちを持ちます。
色々な考えをお持ちの方もいらっしゃるとは思いますが、私たちは何のために生まれ、そして何のために生きているのか結局のところわかりません。
何千年ものあいだ人類は自問し続けていますが答えは出ないのです。
しかしだからこそ今ある生を美しく充実したものにしたいのだと言えないでしょうか。

長い文章になってしまいましたが、教室にお越しいただいている生徒さんたちと音楽を共有する事によって、私たち講師も素晴らしい充実した経験を得させていただいております。
これからもその素晴らしい時間を皆さんと一緒に私たちも楽しみたいと思います。

音楽教室ミュージックベア 代表 樋浦 靖晃